農家を告ぐことは一大事です!家族のことだけでなく町の事、組のことも考えなければ・・・あと、農地はちゃんと管理ができるのか?
法律だけじゃ語れない、農家の相続について農家行政書士が教える知っておきたい5つの話
農家を継ぐという事は、畑を継ぐという事。畑って個人のものではあるけれど、役所の農業委員会やら地域の農会のみんなと折り合いをつけながら、先祖代々受け継いでいくものやから・・・あと、水の問題もある・・・
田舎で相続が発生した時に同対処した良いのか・・・
今日はこれを書いていきましょう!
農地っていったい何?
農地って法律上は、
①現に耕作されている土地
②現に耕作されていない土地のうち正常な状態の下においては耕作されていると認められる土地
と言うことになっています。
わかり易く言うと、今、ほうれん草を作ってる農地だけでなく、
誰も管理しないでほったらかしてブタクサが生えてる田んぼも農地になります。
いつでも耕作できるような休耕地も全部のうちになると言うことです。
さらに登記簿上の地目が山林になってても、
買ったときは山林として買ったって言っても、
いつでもほうれん草が作れるような土地なら、たいてい農地になります。
それでね、
農地を相続や遺贈で受け継ぐときは、
現時点で農地を持っていないとダメっていう言う決まりが無いので、
遠くに住んでるサラリーマンの息子が農地を相続できるんです。
農業委員会とかのめんどくさい許可とか無しで。
相続した後は、10ヶ月以内に農業委員会に届出すればいいだけ。
でも、実際、誰が管理するの?と言う事が大きな問題として残るんですよね。
農地を受け継いだから、これを機にサラリーマンを辞めて、田舎に帰って畑を耕すぞ!と言うことには中々ならないですよね。
だからね、だれが管理するのか?っていう一番の問題に突き当たるんです。
そもそも農地を相続するにしても誰が管理するのか?
3 農業を続ける人が相続人にいない場合(農地の転用)
農地は誰でも相続できるとしても、相続人の中に農業をできる人がいるのかどうかは大きな問題です。相続人が全員サラリーマンであり、農業を続ける人がいないならば、まず農地を転用することが考えられます。
農地を宅地等に転用できるかは、農地の所在地によって異なります。
①市街化調整区域内にある農地を相続した場合
調整区域内農地は農業の継続のために、宅地や雑種地に転用することが法令によって規制されていますので、原則として転用できません。
②市街化区域内にある農地を相続した場合(三大都市圏を除きます)
市街化区域内にある農地は、相続取得した時点で農地であってもいつでも宅地転用が可能な区域ですので、雑種地や宅地に転用することが可能です。
③三大都市圏にある農地を相続した場合
三大都市圏にある市街化区域内農地は、生産緑地法の対象ですが、相続取得した農地が、被相続人が生産緑地の指定を受けていた農地であったとしても、相続人が主たる従事者として農業を継続しない限り、いずれも宅地並みの固定資産税が課税されることになります。
4 農業を続ける人が相続人にいない場合(耕作の委託)
農地を宅地等に転用できない場合は、田植えや稲刈りなど必要に応じて農作業を業者に委託して耕作をしていく、または、農地の維持管理のすべてを業者に委託するなど、農地として維持する方法が考えられます。
農地は地域における貴重な資源であるという認識で有効に利用されるように配慮されなければならないとされています。このため、利用権取得者の範囲が拡大され株式会社も地域限定なく利用権設定資格が持てるようになり、NPO法人なども同様に資格を持つようになりました。
したがって、これらの会社やNPO法人に農地の維持管理を委託することも一つの有効な手です。
5 相続税について
相続税の納付期限は、相続開始から10か月以内です。つまり、相続税納付のために土地(農地を含む)を売却する場合には、納税期限の1~2か月目に不動産の売却が済んでいなければならない、納税期限の3~4か月前には、不動産の売買手続をする必要があります。
不動産の売り出しに3~4か月かかるとすると、納税資金のための不動産屋への依頼は、納税期限の7~8か月前から始めなくてはなりません。つまり、相続開始後に直ちに測量を行い、遺産分割協議も相続後4か月以内にまとめておかねばならないのです。
市街化地域の農地を相続した場合には、相続税の納税猶予の制度を使うことになりますので、その手続を農業委員会に早めにする必要があります。この手続をするにあたっても、遺産分割協議の成立が必要なので、これを早めにまとめておく必要があります。