「親亡き後問題」の救世主?超高齢社会に期待が高まる新しい財産管理の形「家族信託」
家族信託は、改正信託法の信託を利用した今最も注目されている相続対策の手法です!
こんばんは
終活カウンセラー&行政書士の小野です。
早速ですが、あなたは家族信託をご存知ですか?
家族信託とは、平成12年の信託法の改正によりできた新しい信託の仕組みです。
高齢者の財産管理や資産承継をうまく行うために信託を利用した今注目を浴びている財産管理の一つの手法です!
家族信託は、福祉型信託とも呼ばれ、「高齢者や障害者等の生活支援のための信託」と定義されるもので、使い勝手のあまりよくない成年後見制度を補完し、成年後見制度では対応できない部分を補うため、新しい財産管理の仕組みとして注目されているものです。
成年後見制度は、敷居が高く利用者の負担も大きいため利用しにくい。
成年後見制度は、一般の方が利用しにくくなっています。その制度の変わりに、成年後見制度よりも柔軟に財産管理や資産の処分が行えるメリットがあります。
本人の健康状態に左右されずに相続発生のギリギリまで継続できるメリットもあります。
資産凍結の予防効果
本人が元気な時から財産管理を信託でき、その後に本人が認知症になっても「取引時確認が本人にされない。」ので実質的に銀行預金などの「資産凍結」される心配が無く、財産の管理や処分がスムーズに実行できる。
2次相続の対策としても有効
「遺言」の機能として本人死亡後の財産の承継者を指定できるだけでなく、2次相続以降の財産の承継先まで自分で指定できる。この機能により、自分の希望する順番で事業承継の指定が可能となる。また、1次相続による資産承継者(高齢の配偶者など)が認知症や障害により、遺言等で次の承継者を指定できない場合に、その人に代わって資産承継者を指定できるので、後々の遺産分割協議による争いの余地を排除できる。
不動産の共有回避策・共有不動産の塩漬け予防策
不動産を将来的に兄弟・親戚等で共有せざるを得ない場合、あるいは、既に兄弟等で不動産が共有になってしまっている場合に、何らかの事情により共有者全員の同意(実質的には全員の実印の押印など)が得られなくなり、ベストなタイミングで不動産が有効活用・処分できなくなるリスクを回避できる
家族信託のデメリットをご紹介します!
家族信託がどういうものか?だいたいご理解いただけたと思います。
じゃあ、そんなにいい事ずくめの家族信託にはデメリットはないの?
と気になるところです。
きちんとした設計ができれば、家族信託にはデメリットはほとんどありません。
ですが家族信託を利用する際のいくつかの注意点があるので、ご紹介します。
まだまだ実務に精通した専門家が少ない
家族信託は、平成12年の改正信託法により作られた新しい財産管理の手法です。
ですのでまだまだ、実現された案件の事例が少なく、それを使いこなせる専門かも多くはありません。
わかり易く言うと家族信託は、医療業界でいう”先進医療”にあたります。
先進的な外科手術がゴットハンドといわれるような名医にしかできないように、中途半端な知識や経験しかない専門家に頼むと「医療過誤」が生じるリスクが高いです。
ですので、最先端の財産管理手法である家族信託について、深い知識と多くの実務経験をもつ専門家に相談することが重要です。
また、法律の知識が少ないあなたがご自身でインターネットを参考に、家族信託を利用するのは自身で開腹手術を行うようなもの、絶対におすすめできません。
私は、家族信託に必要な税理士、不動産業者、司法書士などと連携しておりますので安心して一度ご相談下さい。
税務上の損益通算ができない
信託財産の中に収益不動産がある場合、信託財産から生じる不動産所得にかかる損失は、なかったものとみなされます
つまり、信託財産たる不動産に関する損失は、信託財産以外からの所得と損益通算することや純損失の繰り越しをすることはできませんので、注意が必要です。
また、信託契約を複数に分けた場合も、それぞれの信託契約をまたいだ損益通算もできませんので、家族信託の設計にあたっては、その点にも精通した専門家や税理士等にご相談の上、慎重に検討すべきです。
家族信託を組むこと自体の税務メリットは無い
家族信託は、あくまで目的達成のための手段ですので、組むこと自体が目的にしてはなりません。
もちろん、資産承継の指定(遺言代用)の機能がありますので、家族信託を設定しただけで、資産承継・事業承継についての安心感は得られるかもしれません。
しかし、信託の持つもう一つの機能としてのは、財産管理は家族信託の契約締結によりスタートする訳で、ゴールではないのです。
家族信託=節税対策
というセミナーを開催したり、書籍を出したりする方が増えているようです。
お客様によっては、家族信託組成後に不動産を売却したり、買い替えたり、賃貸建物を建設したりして保有資産の組換えをし、結果として相続税対策を実行することはありますが、家族信託を組むだけでは税務的なメリットが生じないことは十分に理解すべきです。
つまり、節税対策をしたい方は、具体的な青写真をもって家族信託を効果的に利用しましょう。
認知症による資産凍結対策
・資産凍結回避の先にある相続税対策や空き家対策
・事業承継対策
・共有不動産の塩漬け回避策
・親なき後問題への備え
など様々なニーズに応えることができるそれが家族信託です。
専門家のコンサルティング報酬が高め
最先端の仕組みであり、相談料やコンサルティング報酬は、通常の遺言や成年後見などの相談やお手続きに比べれば多少高めです。
しかし、費用対効果としてみれば、『このくらいの先行投資で、後々の円満円滑な財産管理と資産承継が実現できるなら、むしろお手頃価格』と思っていただけるお客様が多いのも事実です。
税務申告の手間が増す
資産の一部又は全部を信託財産に入れた場合、そこから年間3万円以上の収入がある場合は、信託計算書・信託計算書合計表を税務署に提出しなければなりません(法律上は、前年分を毎年1/31までに提出すべしとなっています)。
また、毎年の確定申告の際、信託財産から不動産所得がある方は、不動産所得用の明細書の他に信託財産に関する明細書を別に作成して添付しなければなりません。
これらの手間は増えますが、毎年の確定申告を税理士さんにお願いしている方にとっては、負担は何も変わらないと考えて良いと思います。
当事者の拘束期間が長い
信託の持つ機能としての資産承継の指定
、連続信託として、1次相続だけでなく、2次以降の財産承継者まで自分一人で決定できるという画期的な機能が信託にはあります。
これにより、相続関係が複雑な家庭(前妻と後妻との間に子がいるケース)などの資産承継や事業承継などでは、この機能が大きな効果を持つ可能性があります。
一方で、何世代にもまたがり、長期に亘って資産の処分に制限をかけるようなことにもなりかねず、かえって争族や不測の事態を誘発しかねないリスクがあるのも事実です。
20年、30年先を見据えた家族信託の設計には、通常以上の熟慮と親族関係者への想いの伝達・共有・納得が必要だと考えます。
信託ではできないこともある
例えば、信託では対応できず、遺言でなければできないことがあります。
具体例として、遺留分減殺対象財産の順序指定が挙げられます。
また、相続発生時の遺産全てを生前の信託契約で網羅しておくことができませんので、信託財産から漏れる財産について遺産分割協議を排除するには、信託契約とは別に遺言書を作成し、主たる遺産以外のすべての遺産の承継先を指定しておく必要があります。
信託の限界のもう一つの例として、成年後見制度との比較における「身上監護」の問題があります。
信託の受託者は、当たり前ですが「身上監護権」がありませんので、「受託者」の身分で本人の入院手続きや施設入所手続きをすることはできません。身上監護権が必要であれば、成年後見制度を利用して、後見人として身上監護権を行使しなければなりません。
もちろん通常は、「子」や「家族」の立場というだけで入院・入所手続きをすることができるでしょうから、実質的には子や家族である受託者が身上監護面でも対応できるケースは多いと言えます。
最後にまとめ
家族信託のお話は、いかがでしたでしょうか?
家族信託は、現行の法律業界の中でも「最先端法務」と呼べるものです。
従って、法律家なら誰でもできるものではなく、家族信託に関する深い知識と豊富な業務経験を持っていないとできません。
ましてや法律知識の少ないあなたがインターネットや書籍を片手に家族信託を利用するのは、自分で自分の開腹手術をするのと同じことです。
当事務所では、弁護士、司法書士、不動産業者、社労士、税理士などさまざまな経験豊富な専門家とつながりを持ち、
家族信託を成功に導きます。
ぜひ、一度お気軽にご相談下さい。
相続・終活カウンセラー&行政書士 小野馨